インタビュー

「アイドルもヲタクも病んでるぐらいじゃないと面白くない」-ドルヲタマンガ原作者極楽たくるさんと酒を飲みながら語ってみた

漫画×アイドル

私ごとではあるが、このところドルヲタのマンガ家さんを取材する機会が続いている。
『ミリオンドール』『ヲタ夫婦』の藍さん、『ももプロZ』『堂々とアイドル推してもいいですか?』の小城徹也さん。いずれも作者自身がドルヲタで、その経験に着想を得た作品を発表している。
インタビューする私自身もドルヲタのライターなので、作品について触れてはいるものの、最終的には普通のドルヲタの会話のようになってしまい、実に楽しい時間を過ごさせてもらっている。

そんな時、新潮社のWEBマンガサイト「くらげバンチ」に連載中のマンガ『アイドルによる、アイドルのための、アイドル生存戦略。』原作者の極楽たくるさんと飲みながらインタビューしてみないか?という、実にありがたいお話が舞い込んできた。

同作品は、セルフプロデュースの3人組アイドル「あの夏を忘れない」が、地下のライブハウスから武道館を目指して奮闘する姿を描いたもの。随所に、現在のアイドル事情が盛り込まれ、ドルヲタならばニヤリとしてしまうことは間違いない。
このような作品を考えるのは、きっとかなりのドルヲタに違いない。面白い話が聞けることを予感しつつ、二つ返事でOKした。


(インタビューに使わせていただいた、どすこい四文屋 )

迎えた当日、待合せをした新宿の居酒屋で、同席した編集のC女史(非ドルヲタ)を含め、まずは3人で乾杯!
早速お話を伺った。

ヲタ飲み対談、開始

ももクロからBiSへ

-極楽さんは、元々どのあたりからアイドルに入られたのでしょう?

極楽  元をたどればモーニング娘。ですけど、ちゃんと現場行くようになったのはももクロからですね。まぁそれもたまにですけど。

-ももクロはいつ頃からですか?早見あかりが辞めたぐらい?

極楽  そうですね。最初は仕事の調子も良くて、たまにライブに行くぐらいだったんですけど、だんだん企画が通らなくなったりして苛ついてきて、ずっといろんなライブ通ってました(笑)。

-ありますね。アイドルって心が病んでる時にすっと入ってくる。

極楽  でも、ももクロの現場は水が合わなかったんです。その後行くようになったBiSは水が合いましたね。

-BiSは初期の段階から行かれてたんですか?

極楽  そうでもないです。2013年の「DiE」ぐらいからですね。現場の悪い噂しか聞かなかったから馴染みたくなかったんですけど、入ってみたらそこが一番楽しくて。

C女史 一番行ってた頃って、どのくらい行ってましたか?

極楽 週4~5回ですね。BiSは最後の頃かなりの数でしたね。ついでにベルハー(BELLRING少女ハート)も行ってましたし。

-今のBiSには行かれますか?

極楽 いや、今は行ってないですね。以前のBiSとは違うものに思えるんで。。知り合いの集客が多いときは行ってましたが。あとは Have a Nice Day! っていうバンドがあって、そこはおやホロ(おやすみホログラム)と「エメラルド」って曲を作ったところなんですけど、そこが一番知り合いが多いです。でも、ライブ見ないで、前飲みと後飲みだけ行ってることもあるんで、結果的に一番多く行くのは飲み屋ですね(笑)

地下のヲタクになるとおかしくなってくる

-行きたいと思うような現場ってどんなところですか?

極楽 Twitterなんかで悪いこと書かれたほうが、逆に行く人増えたりしますよね。「事故現場」って言うんですけど、地下のヲタクになるとおかしくなってくるんですよ。ヤバそうな特典会やるってなったら、それがバズったりして、「じゃあ行くか」みたいになります。

-以前あったのは、淡路島のフェスとか、里咲りささんのバスツアーとかもバズりましたよね。

極楽 社長(里咲さんの愛称)は上手いですよね。誰も不幸にならないようなことが上手いです。

-最近気になっているアイドルはいますか?

極楽 最近欅坂46にハマってます。ライブは行ってないんですけど、ひたすらテレビ見てるのが一番楽しいです。あとは、BiSの現場にいるような変な人たちと飲んで、その人たちも欅を聴いてたりするんで、「いいよね」っていう話をしてます。

アイドルには、病んでる時にハマる

C女史 地下と地上の差ってどこにあるんですか?

極楽 微妙ですよね。武道館行っても、地下の雰囲気が出てるグループもいますし。BiSも横浜アリーナでやりましたけど、まだ半分地下な感じです。

-ももクロも最初は路上から始まってますしね。

極楽 ももクロは、物語を作るのが上手いんですよね。大手の事務所だけど、下積みをさせたり。でんぱ組なんかもそうですね。

C女史 なんで地下アイドルにハマるんでしょう?

極楽 なんでですかね・・でも、客も病んでる人が多いですね(笑)。

病んでる時にハマるのはありますね。

極楽 大体アイドルにハマるのはまず地上からなんですよ。で、地下に行ってすぐに認知されたりすると喜んじゃう。そんなもんですよ、ヲタクなんて(笑)。さらに進んで、最終的にたどり着くのはヲタク同士の飲み会です。コスパもいいですから(笑)。

-極楽さんは、グッズとかは買わないんですか?

極楽 BiSはたまに買ってましたけど、全部売りました。解散前に高く売れたんで。

-以前に比べて、ライブに行く回数は減ってきたと。

極楽 ライブって、楽しい時とつまらない時の差が激しいじゃないですか。

C女史 それは何が違うんですか?

極楽 わからないんですよ。わからないから、ハマってる時は全部行くんですよ。楽しいライブなんて二割あればいいほうです。

-セットリストがいいとか、メンバーのテンションがいいとか、ハプニングが良かったなんてこともあります。

極楽 何となく「この日は神現場になりそうな気がする」ってわかることもありますよね。知り合いの集まりが異常にいい日とか。

-最近は新しい現場には行かれてないですか?

極楽 行ってないですね。欅坂には勝てないですしね。

楽しく騒いでる奴が言ってることって全部つまんない

-マンガのお話も聞きたいんですが、『アイドルによる、アイドルのための、アイドル生存戦略。』に出てくる「あの夏を忘れない」はモデルがあるんですか?

極楽 ないですね。ただ、アイドルグループによくいる、いつも眠そうにしてる子とか、巨乳キャラとか、関西弁の子とかを入れた感じです。キャラに関しては、マンガとしてバランスが良くなることも意識していますね。あとは、実際に地下アイドルを見て、気に食わない部分とかをライトに描いています(笑)。たとえば 2 話に、運営兼メンバーのマネちゃんが「楽曲用意しない運営がやってるとことか、Buono!の「初恋サイダー」をやる奴らは 滅びればいいのに」という台詞がありますが、そもそも楽曲を用意していないのに始める運営は死んで欲しいという本音が込められています。それをかわいい絵柄で言わせれば、 あんまり怒られないんじゃないかな、と思って(笑)。

-運営兼メンバーというと、少女閣下のインターナショナルの里咲さんとかが思い出されますが。

極楽 少ナショは結構行ってましたね。雨宮あまめちゃんがいた頃から行ってますから。

-里咲さん個人の現場にも行ってたんですか?

極楽 行ってましたね。曲は社長(里咲さん)の曲のほうが好きでした。

-絵恋ちゃんとかも行ってましたか?

極楽 行ってました。2013年ぐらいに見てますね。

-通じるものがありますもんね。二人とも面白いですし。

極楽 病んでるというか、そもそも面白いことなんて病んでる時にしか出てこないですし(笑)。だって、楽しく騒いでる奴が言ってることって全部つまんないですよね。

-ほんとそれ!

極楽 悲しい時じゃないと何も思い浮かばないです。マイナスの中で、ちょっと面白いことがあるとうまいこといく感じです。

C女史 運営にまわりたいとかは思いますか?

極楽 思わないです。めんどくさいですもん。

アイドルヲタクとは

-マンガは今後どんな展開なんですか?

極楽 地下アイドルの人気がある子だけを集めてグループを作るとか。
別に「ラストアイドル」をディスってるわけじゃないです(笑)。あとは、運営の人がいるグループを作って、アイドルたちにダイエットさせるとか、解散商法とかでしょうか。「CD が○枚売れなかったら解散する」みたいな(笑)。マンガを通して、あまり知られていない地下アイドルの実態を知ってもらって、読者の方に実際にライブハウスに足を運んでもら って、勝手に苦しんで欲しいです(笑)。

C女史 お二人とも、アイドルを女性として興味があるわけではないと言っていましたが、ちゅー会とかあったら行くわけですよね。

極楽 だって面白いじゃないですか。話題になると参加したくなるんですよ。向こうも考えているんだからこっちも乗らないと(笑)。

-なんかアイドルとヲタクの関係ってそんなものですよね。愛情というか友情というか。

極楽 元BiSに関しては友情みたいな感じですね。早く結婚発表聞きたいですもん。

C女史 ヲタク同士の付き合いは楽しいんですか?

極楽 楽しいですね。そもそも嘘ついてても構わないし、信用する必要もないですし。とにかく楽です。

-有名なヲタクとかいますか?

極楽 昔、CLUB CITTAで泥酔した時に、電撃ネットワークのギュウゾウさんにずっと介抱してもらったことがあります(笑)。

-ギュウゾウさん優しいんですね!

極楽 優しいんですかね? よくわかりません。多分怒られないんで「ギュウゾウさんはクソ」って書いといてください(笑)。研究員(BiSのファン)って、治安は悪いけど、なんだかんだ言って楽しい人が集まってます。全員クソですけど。今は知らんけど。

C女史 根本的な質問ですけど、何のためにアイドルを追いかけているんですか?

極楽 いやもう趣味ですね。

-自己満足ですよね。

極楽 「クソみたいなライブしやがって!」ってキレに行く趣味とか意味分かんないですけど(笑)。

最後に

インタビュー取材ではありながらも、アイドルの話で盛り上がり、あっという間の時間だった。
マンガ家さんにも色々なタイプがいるが、極楽さんは「武闘派」といったところだろうか。とにかく面白そうな現場を探し、そこでは力いっぱい楽しむ。その姿勢がかっこいい。
また、媒体が地下アイドル総合サイトとはいえ、ちょっと書けない話題も多く(実はそのあたりが面白かったりもするのだが)、ぜひ極楽さんには、ツイート禁止のトークイベントなどをやって欲しいと思った。

極楽さん原作の『アイドルによる、アイドルのための、アイドル生存戦略。』はWebマンガサイト「くらげバンチ」で連載中(http://www.kurage-bunch.com/manga/idol/)。こちらの更新も要チェックだ。

関連リンク

「アイドルによる、アイドルのための、アイドル生存戦略。」連載ページ http://www.kurage-bunch.com/manga/idol/
極楽たくるTwitter https://twitter.com/takuruooo
くらげバンチTwitter https://twitter.com/Bunch_Shincho

本日9月29日、第3話公開!(画像クリックで作品ページへ)

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プレヤード
おたぽる(サイゾー)や、ガジェット通信などへの寄稿を中心に活躍する、アイドル&美少女系ライター。 アイドルを追いかけてはや○○年。ここまで来たら生涯を捧げる覚悟です(^^; ameblo.jp/pleiad1002/
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