アイドルというのは、季節のうつろい
アイドルというのは、季節のうつろいだと思う。
それぞれの季節に、それぞれのアイドルの姿があって、その思い出が重なり合って、自分の中のアイドル像が形作られているような気がする。
そんな中でも春は特別な季節だ。
「春はお別れの季節です」と歌ったのは、30年ほど前のおニャン子クラブだが、確かに春はアイドルとの別れが多い。
地下アイドルまとめブログでも紹介されていたが、今年の春、アイドルを引退・解散する人の数は140人を超えるという。
それぞれの人に何人ものファンがいたことを考えると、数多くの別れがあったことになる。
悲しみは、それぞれが抱えていることだろう。
私自身、アイドルとの別れは何度も経験してきたので、その思いはわかるつもりだ。
それでも、あえて言わせてもらうならば、アイドルとのたくさんの思い出を抱えながら、生きていくのも決して悪いものではない。
「AceFile 解散15周年記念イベント」に想う人との別れ
今年の4月7日、下北沢で、AceFileの解散15周年記念イベントが開かれた。
AceFileを知らない人のために説明しておくと、当時ホリエージェンシーに所属していた、吉川茉絵、久志麻理奈、工藤あさぎ、奈良沙緒理の4人によるアイドルユニットで、イベントやライブを精力的に行い、今のライブアイドルグループの原型とも言えるような存在だった。
2000年に結成され、2002年4月7日のライブをもって解散。その日からちょうど15年、リーダーであった吉川茉絵の呼びかけによって、彼女とスタッフ、そして当時のファンが集まったのだ。
イベントでは、当時の裏話や、メンバーの近況なども紹介され、懐かしくも楽しいひとときが過ぎていった。
語られた中で印象的だったのは、吉川も、他のメンバーも、スタッフも、ファンも、アイドル活動を通して一緒に過ごした時間が、どれほど楽しく、大切な思い出として残っているかということだった。
活動期間はたったの2年半。でも、その何倍も長い15年もの年月を、私たちはその思い出を抱いて過ごしてきた。
そのことがとても嬉しかった。
「次は15年後、解散30周年で会いましょう!」そんなことを言って、私たちは別れた。
暖かな会場を後にして、「別れたのが春であってよかったな」と思った。
毎年、桜の花が咲くと、たくさんの人との別れを思い出す。でも、その思い出が蘇ってくる限り、その人とはまた出会うことができるのだ。
15年後、何をしているだろう、はたして生きているかどうかもわからないけど、その日まで、また春になれば彼女たちのことを思い出すのだろう。
そして、春は出会いの季節でもある。
こちらは数えていないが、この春にアイドルとしてデビューしたり、結成、加入などで新たに出会う女の子もたくさんいることだろう。
その子たちと新しい思い出を始めるのだ。
春はまだ終わってはいない。
私たちは今、春の只中にいるのだ。
ライタープロフィール
《プレヤード》
アイドル&美少女系ライター。
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執筆に関わった本「アイドルとヲタク大研究読本イエッタイガー」(カンゼン)発売中。
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