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おじさんのものから若者のものへ 10周年に見えたTIFの変化
8月2日~4日の3日間、お台場周辺エリアにて行われ、来場者数88,000人を記録したTIF2019。これまでにTIFとともに育ってきた数々の中堅アイドルたちが解散し、はたして今年はどのような面子が集まるのかと注目を集めることとなった。
今回で10年目、10周年となったTIF2019。その所感について簡単に綴っていく。
おじさんたちのTIF離れ
今年、多く見かけたのが「TIFに行くモチベーションが上がらない」という意見だ。昔の【牧歌的で、見たことのないアイドルや、アイドルではない人までもがうじゃうじゃ出ていたTIF】を体験してきた彼らにとって、このコンプライアンスやコネクション重視の「置きにいく」ようなブッキングや会場設置は刺激がなく、実際に「今年初めてTIFに行かなかった」という声や、お目当てのグループだけ見て帰ったという人も少なからず目にした。
その気持ちは自分もわかる部分がある。自分がTIFで最後に「面白いな!」と感じたのは2016年に出演した「青森ナイチンゲール」の出演だ。こういう関東の人が殆ど見ることのないようなグループを呼び寄せるあたりが「さすがTIFだな!」と感心させられた。
青森はねぶた祭り一色!
ナイチンゲールもねぶた花笠カチューシャで
青森ねぶたを応援します\(^o^)/ pic.twitter.com/mx86sEjwyI— 青森ナイチンゲール (@info_aonai) August 5, 2015
だが、2017年から総合プロデューサーが濱田氏から菊竹氏に代わり、2018年2019年と経るたびにそういった【大穴】のような出演者はとんと影を潜め、AKB系列や坂道系列、ハロプロ系列などの出演がどんどん増えていった。それと同時に最前管理などに対する対策も練られるようになり、「何でもありの面白合戦」だったTIFが、明確に「企業として他のビジネスに繋げていくためのコンプラ重視のTIF」へと変化していった。
【御礼】TOKYO IDOL FESTIVAL 2019 に出演させていただきました。
メンバー全員での出演を叶えてくださいましたTIF運営の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。
そして、早い時間から暑い中ご参加いただいた皆様をはじめ、応援していただいた全ての皆様、ありがとうございました。#NGT48 pic.twitter.com/7MyxpJ653T
— official_NGT48 (@official_NGT48) August 3, 2019
(建前上の「禊」を落とすため今年の開催前日に出演が発表されたNGT48のステージでは、ライブ中に思わず涙してしまう研究生メンバーもいた)
そんな経緯からも知識欲などが刺激されなくなり、昔から来ていたおじさんヲタのモチベーションも下がっていったことが伺い知れる。
ピンチケの台頭
そんなおじさんヲタ達に変わってだんだん数を増やしていったのが「ピンチケ」だ。「若いヲタク」や「若い厄介ヲタ」などを包括するこの「ピンチケ」という言葉の層。彼らは単独行動の多いおじさんたちと違い、大体3人以上で行動することが多い。なので、TIFのイベントの動員を増やすためには、このピンチケ層に対するアピールを強化する必要があったともいえる。
彼らは特に「FES☆TIVE」や「天晴れ!原宿」、「真っ白なキャンバス」などに集い、マスゲームと言ってもいいような一斉に動く爽快な振りや狂乱に満ちたMIXやコールを繰り広げ、それらの出演者のライブでは圧倒的な盛り上がりを演出した。
『FESTIVAL STAGE』ありがとうございました!!!
最高の景色と盛り上がりでした🔥
ライブの模様をダイジェストでお届け💁♀️#白キャン #TIF2019 pic.twitter.com/IM9MS3jbk1— 真っ白なキャンバス (@info_shirokyan) August 3, 2019
こうして、昔はわりとマニアなおじさんたちのものだったTIFが、この3年間で特に若者にウケるように特化していき、(公表では)動員を増やしていった。
他のロックフェスのような光景
今年のTIFの特徴としては、スマイルガーデンがメインステージとして返り咲いたことが挙げられる。完全に前方と切り離され【異界】と化したスマイルガーデン後方では、みんな普通にスマホで動画を撮っているうえに、ペットボトルや水、サイリウムなどが飛び交っており、その光景を直で見た際には「(サイリウムは別としても)あれ? なんかこれ普通のロックフェスっぽいな」という印象を受けた。
数年前までは縦に長い旗を持ってきたり、一万円札をばら撒いたり等、「変なこと」をするピンチケたちがいたのだが、今年は一切そういう人もなし。そう、まさに彼らは普通の野外フェスのライブキッズのような振る舞いをしていたのだ。
ここで個人的な主観で補足させてもらうと、ピンチケとは
■ ライブキッズ=リア充でフェス好きな若者
■ 声優オタク=推しジャンじゃなくて「キチジャン」、ヲタ芸、MIX、コールなどを理性のリミッターを振り切って行う
のちょうど中間のような存在で、いわゆるリア充にもなりきれないけど、声優オタクほどまではぶっとんでもないような立ち位置だと個人的に思っている。そのピンチケたちが、今年はあまり変なこともせずに、一般的なライブキッズに似て見えるような立ち振舞いをしていたことが印象に残った。
アイドルフェスから一般的なフェスへ
若者にウケるグループを多く出演させ、さらにはセキュリティを強化したことによって、意外にも「アイドルフェス」というよりも「一般的なフェス」に近づいた今年のTIF。なので、お客さんが動画撮ってたり、ペットボトルを投げたり水が撒かれても「まぁ普通の野外フェスならわりとよくあることだよな(ないに越したことはないが)」と思ってしまった。
過去にTIFの中心となって出演していたバニラビーンズは去年解散し、ベテランWHY@DOLLも今年の11月での解散を発表して今回が最後のTIF出演となった。他にもNegiccoや、老若男女で盛り上がったベイビーレイズJAPANなど、これらの層が抜けたところに入ってきたピンチケ向けグループ達。これらのどちらかというと「おじさん向け」グループが減って、ピンチケ向けグループが増えたことも、こういった雰囲気を作った原因の一端だろう。
プロの地下アイドル 絵恋ちゃん
そんな今年のTIF。全体的に今まであった牧歌的な雰囲気やユーモアは、コンプライアンスなどを理由に排除され、いわゆる「アイドル的なアイドル」よりも「ライブアイドル」寄りのグループが多く選出されたように思う。
前述したように自分がTIFに求めてるのは「青森ナイチンゲール」であり、奇想天外なことをやってくる演者や観客のユーモアだ。他では絶対に見ることが出来ない【奇跡の一瞬】をTIFにはどうしても期待してしまう。(この辺の求めるものは百人百様なので、あくまで自分の求めるものがユーモアというだけ)
そんな中、今回ほぼ唯一といってもいいほど期待に応えてくれたのが絵恋ちゃんだ。「ヲタクたちが一斉に土下座した瞬間に音が止まり、退出の瞬間に『謝って』という歌詞部分のオケが再開される」というあまりにも出来すぎた台本は、あきらかに彼女の仕込みであろう。(本人は絶対に認めないだろうが。そのあたりに関しても彼女はプロなので)
地下まとめと吉田豪の推薦枠で初出演できたTIFで
地下まとめに載るライブができてめでたしめでたし٩(^‿^)۶#TIF2019#えれてぃふhttps://t.co/bxJKbHBEPf— 絵恋ちゃん😼 (@erenism) August 5, 2019
そう、事前の準備をみっちり仕込む彼女が、絶対にこんなトラブルに見舞われるはずがないのだ。だが、その彼女の描いた絵図はまさにハイレベルなエンターテイメントであり、前述した「ライブアイドル」と真っ向に位置する『プロの』『地下アイドル』だからこそ出来たことだと思う。そんな彼女の仕掛けた演出やMC、これまでファンと一緒に培ってきた多種多様のヲタ芸は、会場を平和で温かい好奇心で満たし、今回のイベントの中では一際異才を放つこととなった。
恐らく絵恋ちゃんをはじめて観たであろう女子3人組が隣だったのですが、始終ニコニコしてて、「ゼクシィ」と「キモい」とか「土下座」とかすべてに反応してて最高だったwwww
そーゆー会場の雰囲気が私はとてつもなく好きなのである🤗#TIF2019 #絵恋ちゃん #えれてぃふ— ╹◡╹(ニッコリさん) (@dotcomdotcom) August 3, 2019
他にも、最も太い音のEDMアイドル「Devil ANTHEM.」はイベント向けにオリジナルMIXを作ってきたり、刹那的で儚いコンセプトを誇る「tipToe.」は夕暮れのスカイステージで名曲『茜』を披露して会場を感動に包んだり、夜のスカイステージラストでは「sora tob sakana」&「amiinA」が『夜空を全部』『Canvas』で世界に唯一無二の美しいトリを務めたりなど、真の意味での楽曲派グループたちは、その個性をふんだんに活かすような工夫を凝らし、訪れた観客たちに感銘を与えていた。
【TOKYO IDOL FESTIVAL2019】
8/2(Fri) 18:15-18:30
tipToe. at SKY STAGE(magic hour)
SE(heartbeat)
1.The Curtain Rises
2.茜
3.特別じゃない私たちの物語 pic.twitter.com/ooEi17mnhR— tipToe.(ティップトウ) (@tipToe_official) August 3, 2019
ライブアイドルと地下アイドル
だが、ライブキッズと化したピンチケたちはスマイルガーデンで動画を撮り続け、さらにあまりにも人数が多すぎることもあって、上記のようなライブの情報が飲み込まれてしまうほどに、圧倒的な量で情報を発信し続けた。その結果、多分スタッフ以外の誰よりも「TIF」に関してググり続けていた自分は「今年のTIFはライブキッズによる一般的な野外フェスっぽい」という印象を強く受けることとなった。
それもいいと思う。ただ、あくまで自分がTIFで見たいのは、ユーモアや工夫に溢れ、アイドルとヲタクで築き上げていく【奇跡の一瞬】だ。もちろんライブアイドルはライブアイドルでいいし、パンパンのホットステージでファンたちが一斉に横移動などをするのも爽快で、それらに関してもここでしか見ることの出来ないものだと思うし、なにより(ルールを違反するものもいるが)本当に体中で楽しさを表現してるキッズたちを見ていると、こちらまで楽しい気持ちにさせられるものだ。
みんなでもっと大きくなってこう~! pic.twitter.com/tnkCHtYp7a
— FES☆TIVE (@FESTIVEofficial) August 3, 2019
総合プロデューサーの菊竹氏は年内、または来年1月の「ニューイヤープレミアムパーティー2020」をもって総合Pの立場を降りるのではないかと思うのだが、もし来年もTIFがあるとしたら、もうちょっと遊びのある「コンプライアンスを守ったうえで面白いことを出来る『地下アイドル』」を多く出してほしいと思う。本当に面白くてユーモアと実力のある『プロの地下アイドル』はまだまだたくさんいるので。
絵恋ちゃんTIF初出場、呼ぶのが遅すぎるのは事実なんですけど、トークでもLIVEでも確実に結果を残していたから、この界隈のアイドルがもっとTIFに呼ばれるきっかけになればいいし、絵恋ちゃんがまた来年もTIFに呼ばれなかったらおかしいレベルだったと思いました。
— 吉田光雄 (@WORLDJAPAN) August 3, 2019
TIF 公式サイト http://www.idolfes.com/2019/
TIP&TIF Twitter https://twitter.com/tip_tif_staff
絵恋ちゃん 公式サイト http://eren.sorashi.com/
絵恋ちゃん Twitter https://twitter.com/erenism


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10周年じゃないよ
訂正して
調べたのですが、「10年目」でも10周年と言って間違いないそうですよ。
そういうことは確実に調べてから返信してください
どちらでも良いという考えだと
もし来年このイベントが開催された場合に再び10周年と言っても良いということになります
訂正してください
では、TIF公式が訂正したら、そちらが正式な公称ということでそれに沿って訂正させていただきます。がんばって。
私は今年のTIFはあまりにもソロアイドルを排他しすぎだったと思う。
アイドルフェスから一般的なフェスへというのは悲しくもありますが、もともと誰にも見つかってないアイドルは自分で見つけるものですから、TIFにその役割を担わせるのは酷ですよ
例年にも増して今年は「秋元フェス」という印象を受けた
もういい加減に切り離してもいいのではないか
TIF、@JAM、アイドル甲子園とそれぞれに出演者の棲み分けできているから
TIFのこの流れは一つの正解だと思います
以前のように「見つかった」とか「陽の目を浴びた」みたいなことが少なくなるのは寂しいですが
ちょっと前までsora tob sakanaや大阪☆春夏秋冬を「TIFで見つかったアイドル」としてTIFの番組内でもプッシュしてましたからね。
よくもまぁ、こんな美辞麗句を並べて実態を包み隠し、太鼓持ちをできるなと感心した。
若者が増えたのはそうでも、もはや猿状態か、チンピラみたいなのが跋扈し、
ゴミを散らかす、歌や演奏と関係なく喚く、
(酷いのでは、小学生のアイドルに向かって最前を占拠しながら脅かしたり)MCを遮るように茶化す、
物を客や舞台へ向かって投げる、
「最前管理組合」と称する犯罪者集団がヤクザのようにショバ代のごとき金を取り、拒否する奴には暴力をふるう。
何度も、何年も被害報告がなされているのに何の対応もしない酷い運営。
ひょっとすると、刑事事件グループとそのファンの加害者を招き入れてしまうフジ、運営だけに連中とグルになっているんじゃないかと懸念さえ出てきてしまう。
出演者の歌やダンスのレベルもアイドルなので押して図るべき、
アイドル現場だけでしか粋がることのできない、若いだけで客層は最悪。
一般フェスみたい?
嘘こけ、音楽フェスではTIFほどこんなに暴力沙汰は起こらないし、
暴力団のみかじめ料よろしくのように場所代請求して無法な振る舞いをする奴なんていないっての。
はっきり言って、おっさん達が客の主流だったころの方が穏やかなイベントだったし、秩序立っていた。
アイドルというマニアックな趣味、アイドルファンというマニア、
アイドルとそれを楽しむドルヲタという構図で同じイベントには変わりないけど、
はっきり言って、イベントのクソ化は目に余るし、内実は年々酷くなっている。
以前にプロデューサー変更でその傾向が強くなったような気がするので、また配置換えで別の奴がなるのはいいことだと思う。
このまま自浄作用が働かないようだと、どうしようもない連中が集う、どうしようもない掃き溜めになるよ。