やまもと雑記帳

【コラム】地下アイドルは搾取されてる!? 地下アイドルの実情と搾取されない対策を考察

地下アイドルの収入源

では、地下アイドルは一体どういうところから収入を得ているのでしょうか。思いつく範囲だと、

・チェキや写メなどの撮影券によるバック
・ライブ出演の際のチケットバック
・ライブ出演料
・主催ライブでのチケット料
・テレビ、ラジオ、ネット放送などの出演料
・雑誌などの掲載料
・SHOWROOM、CHEERZ、.yell plusなどの課金バック
・撮影会のバック
・コンカフェなどでの時給、チェキなどのバック
・DVDの出演料
・CDの歌唱税
・普通にアルバイト
・家がある程度裕福(仕送りなど)

などです。これらについて考察していきます。

チェキバック率は高いからいいというものではない

地下アイドルの収益のほとんどはチェキ撮影(1枚につき約1分トークがついてきて500円~1500円が主流)によって生み出されます。そのチェキのメンバーへのバック率は、下は15%のところから、一般的に30%~35%が多く、40%や50%だとかなり高額なバックの方に入ります。これを見て「15%!? 搾取だ!」と思う人もいるかも知れませんが、全体として見た場合、残りの85%をきちんとプロモーションに回してくれている場合は、一概に搾取だとも言い切れない部分はあると思います。

アイドルはほとんどの人が「売れる」ためにやっていると思うので、そのために低バックでもプロモーションにお金を回して売ってくれることは悪くないように感じます。プロモーションというのは、ちゃんとMVを作ったり、新曲を出したり、それをちゃんと流通させたり、テレビやラジオやウェブに広告を出したり出演したり、話題になる主催イベントを開いたりなどですね。逆に、アイドルに高バックを渡していても、外に向けて一切プロモーションを行わないグループなどは「なんのためにアイドルやってるのかな?」と思うことがあります。

自分が知っている中には、メンバーに騙されてバック率100%というとんでもない契約にしてしまった運営もいました。みんなが思っているような「運営がアイドルを食い物にする」だけでなく、運営がメンバーに食い物にされてしまう場合もあるのです。

ライブ出演の際のチケットバックは動員数によって変動

もしかしたらこれはあまり公にしてはいけないことなのかもしれませんが、毎日のように行われている対バンフェスに入場する際に「目当てはどこですか?」と聞かれることがあると思うのですが、ここで聞かれた動員数によってチケットのバック率が変わります。2,3人しか動員なかったらバックは0円だったりすることもあります。逆に何十人も呼ぶところであれば、このチケットバックのみで数万円を得ることになります。

これだけ見ても、人気の地下アイドルと、不人気の地下アイドルの給与を同列に語ることの無意味さを理解していただけると思います。さらに、人気のある地下アイドルだと、ライブ後に行われる物販で1時間で数万円~数十万円を売り上げたりします。一方、人気のないユニットだと、1時間で3,000円とかの売り上げしか上げられないところもあります。

同じ地下アイドルが同じライブに出て、1日の売上3,000円のところもあれば20万円のところもあるわけです。地下アイドルの給与や契約に関して考えたい場合、まずこの振り幅があることを理解しておいていただきたいです。続けて、他の収入の可能性を見てみます。

出演料がない代わりに、物販スペースの出店料も無料

前述の通り、地下アイドルは物販(チェキ、写メ)で稼ぎます。お客を呼んでチケットバックももらいます。それと別に「出演料」というものもありますが、この「出演料」というのは地下アイドルフェスにとって過去の遺物になりつつあります。理由は、これまでに述べた「物販」のためです。

物販について考えます。まず、ライブと物販を切り離して考えてください。「物販(グッズや接触を売る)」スペースというのは、いわばお店です。お店には家賃、または出店料がかかります。地下アイドルの物販スペースにも、普通に考えたら出店料的なものがかかってくるわけです。過去、@JAM EXPOで物販スペースの出店料に1万円かかることがわかって話題になりましたが、これはまぁそりゃそうかなとも思います。@JAM EXPOは「出演料も払うが、出店料ももらう」。TIFは「出演料は払わないが、出店料も取らない」。どちらも道理は通ってるように感じます。武道館アイドル博のブースにも出店料がかかりますし、コミケなどに出店する際ももちろん出店料がかかります。

@ JAM EXPO、アイドルの自撮りに写り込んだ張り紙で、物販の出店料が1回¥10,800円かかることがバレてしまう

なので、最近の風潮としては「出演料も払わない代わりに、物販手数料も取らない。そのかわり動員によってチケットバックは払います」というのが多いような気がします。そもそも、ちょっと前までって「出演者がチケット買い取って、それを知り合いに売って、売れた余剰分が自分のギャラ」だったわけじゃないですか。でも、それを全部さばくのは難しいから、実質そのステージに出演する権利をチケットを通して自分で購入してたわけですよね。それでタダでチケット撒いたり。要するに演者がお金を払ってステージに立たせてもらってたわけです。これは僕が吉本興業に所属してた時の話ですね。なので、チケットバックももらって、場所代タダで物販やらせてもらって、さらに出演料までくれって言ってる集客の伴ってないアイドルの人を見ると、なんか凄いなぁと思ってしまいます。

とは言っても、イベンターがヘッドライナーとして最初にブッキングするような地下最上位のようなグループにはギャラを提示していて、後から隙間を埋めるブッキングをされてるところにはノーギャラでオファー出してたりする場合もあるんです。この場合、ギャラというのは「私はあなたを評価していますよ」という評価基準として捉える運営さんもいます。ノーギャラオファーが当たり前になった現代だからこそ、「ギャラの提示」という行為が、とてつもない意味を秘めるようになってきています。

そんな中、律儀にギャラを払っているイベンターは、やはり半ヲタ的な人が多く、アイドル側に思い入れの強い人が多い気がします。優しい人達ですね。そういう人はアイドルにももちろん好かれますが、なかなか利益を上げづらくなってるという面もあると思います。だって「10人しか呼べないアイドルが10組出演して100人お客さんを呼び込もう」っていうのが地下対バンですよ。そこにチケットバックの他にギャラを払おうとしても至難の業なわけです。そもそもの売り上げがないわけですから。

それと、TIFの話ですが、地下アイドルにはギャラは払ってないと思うんですが、超メジャーのアイドル相手には、多分数十万くらいの出演料は払っているのではないかと言われています。

主催ライブでのチケット料

アイドルの行う主催ライブは大概の場合儲かります。ただ、そんなに頻繁には出来ないので、安定した収入にはならないと思います。主催ライブをした運営さんたちは、みんな「うわぁ……イベンター美味しいなぁ……」と思ってるはずです。

テレビ、ラジオ、ネット放送などの出演料

どのメディアにおいてもですが、出演料をもらうことのできるメディア仕事はあまりないと思います。テレビだと、ひな壇に立てるクラス、レポーターをできるクラス、ゴールデンにゲストで呼ばれるクラスじゃないとお金はもらいにくいと思います。ちょっとライブシーンが映るくらいではもちろん謝礼は支払われませんし、むしろ課金レースに勝ってテレビに出たり、その出演枠自体を数十万円出して買い取って出演したりしてます。地下アイドルは、お金をもらってテレビに出るのではなくて、お金を払ってテレビに出てる場合の方が多いかもしれません。

ネット放送などでも、お金を出して枠を買い取って自分でコーナーや番組を持ってたりしますね。ラジオについてはあまりわかりませんが、イメージとしてはリリイベの一環で無料で出てるイメージです。これもほとんど収入にはなっていません。

雑誌などの掲載料

これも頻度が少ない上に少額ですね。さらに、掲載されるために課金レースがあったり、掲載雑誌をイベントで販促しなければいけなかったりと、仮にギャラが出てもそれよりも出ていくコストのほうが多いと思います。

SHOWROOM、CHEERZ、yellプラスなどの課金バック

どれも有料課金アイテムが大量に投げられない限り、安定した収入にはならないうえに、大量に投げられるときは課金レースの時で、その際のバック率は大抵低く設定してあります。これも収入としてはあまり考えられないように思います。

撮影会のバック

個撮(1体1での撮影)と囲い(数人~十数人ほど)があります。1枠50分~80分ほどで、値段も8,000円~12,000円ほど。多分この半分くらいがバックになっているはずです。個撮よりももちろん囲いのほうが儲かります。1日で1枠~多くて8枠くらいの稼働。人気の子は1日で10万円以上稼ぐと思います。なので、撮影会でも人気のある地下アイドルの子は、収入がかなり高いと思いますね。個撮の上位種「2人っきりでお出かけして個撮」というような闇の個撮もなかには存在。

コンカフェなどでの時給、チェキなどのバック

コンセプトカフェ、コンセプトバーでのアルバイトをしてるアイドルさんも多いです。通常のバイトよりも時給が高い上に、チェキなどのバックもあります。普通のアルバイトをするよりはコスパはいいはず。コンカフェ主体のアイドルというのも昔から根強い人気です。

DVDの出演料

グラビアDVDも、出せば十数万ほどもらえるようです。ただ、ソフマップなどでの販促に時間を取られたりなど、一概にコスパがいいとは言い難いです。そんなにしょっちゅう出せるものでもないですしね。

CDの歌唱税

地下アイドルでもらってる人はほとんどいないと思います。

普通にアルバイト

マックやコンビニ、飲食店などで普通にアルバイトをしているアイドルはたくさんいます。その理由は家賃だったり、生活費だったりです。「地方から出てきて一人暮らしをしている売れていない地下アイドル」ほど、お金に泣いているアイドルはいないと思います。

家がある程度裕福(仕送りなど)

日本では、なぜかこの仕送りだったりというのが馬鹿にされる風潮があるんですが、裕福な家庭の子であれば、ガンガン仕送りしてもらって心いくまでアイドル活動に専念してもらえればいいのにと思います。「芸能」というものについて、各方面からの見方は全く違うと思うのですが、自分は「道楽」として取り組んでるくらいのスタンスが一番余裕を持っていいものを作れそうな気がします。そもそも、そのためのスポンサーだったりタニマチだったりっていうのが昔からの「芸能」や「芸術」においての存在ですからね。ハロプロも家が裕福な子しか採用しなくなっちゃったし(岸本さんを除く)、わりと芸能ってそういう側面が強いと思います。

ソロアイドルとセルフプロデュースのアイドルは儲かる

上記で挙げた稼げるアイドルの条件「チェキ会で人気がある」「動員人数が多い」「撮影会に強い」などの他に、稼いでいるアイドルがいます。それは、「ソロアイドル」「セルフプロデュースのアイドル」の2つです。

まず、ソロアイドルですが、圧倒的にかかる支出が低いです。交通費も1人分。衣装も1人分。お弁当代も1人分。心身などのケアも1人分。スタッフも運営1人でいい。メンバー間の喧嘩もない。これは、はっきり言ってやりやすいです。フットワークが軽く気軽に遠征や海外まで行けちゃって、赤字かなと思ったら一瞬で撤退して方向転換できる。ソロアイドルはまず赤字になりにくいと思います。その分、メンバーの給与にまで反映されやすいですね。「すごく儲かる」という方向性ではなく、「着実に儲かる」という方向の儲かるです。

姫乃たまさんの著書の中で「地下アイドルの平均月給12.7万円」と触れてありますが、これは姫乃さんがアンケートを取ったアイドルにソロアイドルの割合が多かったからではないかと思います。(著書内では、地下ドル活動以外の収入も併せた月収は「17.9万円」ということでした。12.7万円は地下アイドル活動だけで得た月収の金額です)

そして、さらに儲かるのが「セルフプロデュース」のアイドルです。単純に考えて、運営も演者も1人でこなすのだからその分儲かります。運営の月収が仮に25万だとしたら、月に25万円分余分に儲かります。ただ、演者もこなしながらそれだけの働きを出来るかと言われれば、また難しいのですが、少なくとも儲かることには間違いありません。

一番儲かるのはセルフプロデュースのソロアイドル

つまり、一番儲かるのはセルフプロデュースのソロアイドルです。そもそも運営がいなければ、今話題になっている搾取とかは起こりえないので、みんなどんどんセルフプロデュースになりましょう。しかもソロアイドルだと全部自分の責任です。ある意味気楽です。たしかに赤字になった場合自分が全部借金として背負い込まなくてはいけないリスクはありますが、最初にクラウドファンディングで資金募集して始めてみてはいかがでしょうか。

逆にセルフプロデュースになったら、運営が請け負っててくれた仕事の大変さや、逆に「こんなに楽して儲けてたんかあいつ!」というようなことがわかると思います。爆裂女子の零ちゃんは、去年のトークイベントで「セルフプロデュースって、いざやってみたら意外と簡単にできた」と発言していました。

零ちゃんの面白対談連載「絵恋ちゃんvs零ちゃんのアイドルシーンを斬る!」

次のページでは、「地下アイドルを搾取する悪徳運営とは」。子供を搾取する悪徳運営の正体について迫ります。

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コメント

    • ちば乃木
    • 2018年 10月 14日

    時宜を得た記事だと思います。
    愛媛の事件はどうかと思いますが、
    あれで地下アイドルが全部そうと思われるのも、どうかと思います。
    「それなら48や46はどうなんだ?」ですし、
    オリコン週間10位に入るグループの事務所はどうなんだ?
    です。
    アイドル界に、駆け込み寺のようのな組織が必要かもしれませんねl

    • チカカラ山本

      コメントありがとうございます。この事件を受けてからずっとまさに「アイドル駆け込み寺」という名前の《いのちの電話》のような活動をして、必要があれば仲裁に入ったり、弁護士などを紹介するNPO法人を作りたいなと思っていたのですが、サイトの運営もしながらだとなかなか難しく、実現に移せておりません。機会があれば、ぜひ立ち上げてみたいと思っております。

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